フリーランスエージェントに登録すれば、請負・準委任を問わず幅広い案件から選べると考えている人は少なくないと思います。しかし実際に登録してみると、提示される案件が特定の契約形態に偏っていることがあります。筆者自身がエージェントに登録した際に感じた違和感と、その背景を調べた内容を共有します。
登録前に期待していたこと
エージェントに登録する前は、案件の選択肢が幅広く用意されていて、契約形態についても請負・準委任のどちらかを自分の希望に応じて選べるものだと考えていました。フリーランスという働き方自体が「自分で仕事の進め方や契約条件を選べる」というイメージと結びついていたため、契約形態も選択肢の一つだろうという前提があったのだと思います。
実際に提示された案件の傾向
筆者が実際にエージェントに登録してみたところ、紹介される案件は準委任契約のものばかりでした。請負契約の案件も選べるだろうと思っていたので、この点は率直に意外でした。特定のエージェント数社の経験にすぎないため、すべてのエージェントが同じ傾向を持つと断定はできませんが、少なくとも筆者が利用したサービスではそうだったという事実です。
なぜ準委任ばかりなのか調べてみた
この違和感をきっかけに、なぜエージェント経由の案件が準委任契約に偏りやすいのか調べてみました。断定的な情報源は見つからなかったものの、いくつかの構造的な理由が語られていることが分かりました。
クライアント側のリスク低減という見方
準委任契約は「業務の遂行」に対して報酬が支払われる契約形態で、成果物の完成責任を負わない点が特徴です。一方で請負契約は成果物の完成に対して責任を負う契約になります。システム開発の現場では要件が途中で変わることも珍しくないため、クライアント企業としては仕様変更のリスクを負いにくい準委任契約を好む傾向がある、という説明を目にすることがあります。ただしこれはあくまで一般的に言われている傾向であり、案件やクライアントの事情によって事情は異なります。
エージェントのビジネスモデルとの関係
エージェントは人材を「稼働時間」や「工数」ベースで企業に提供するビジネスモデルを取っていることが多く、この仕組みは準委任契約と相性が良いとされています。請負契約では成果物の納品や検収というプロセスが発生するため、エージェントが仲介する形態としては管理が複雑になりやすい、という指摘も見られました。この点についても、エージェント各社の運用実態を筆者が直接確認できたわけではないため、一つの見方として捉えるのが適切だと思います。
準委任契約と請負契約の違い(簡易整理)
| 項目 | 準委任契約 | 請負契約 |
|---|---|---|
| 報酬の対象 | 業務の遂行 | 成果物の完成 |
| 完成責任 | 基本的になし | あり |
| 契約不適合責任 | 基本的になし | あり得る |
| 稼働管理のしやすさ | 比較的しやすい | 納品ベースで管理 |
この整理はあくまで一般的な性質の比較であり、実際の契約書の条項によって責任範囲は変わります。契約を結ぶ際には、契約書の文言を必ず自分の目で確認し、不明点があれば税理士や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
準委任契約自体が悪いわけではない
誤解のないように書いておくと、準委任契約が一方的に不利な契約形態というわけではありません。成果物の完成責任を負わない分、仕様変更や仕事の進め方についてクライアントと柔軟にすり合わせがしやすいという側面もあります。稼働時間が明確になりやすく、精算幅(稼働時間の上限・下限)が契約書に明記されるケースが多いことも、フリーランス側にとって収入の見通しを立てやすいという利点につながります。要は「請負でないと困る」という強い希望がない限り、準委任契約自体を避ける理由は特にないということです。
請負志向なら別ルートを検討する余地がある
一方で、成果物単位での契約を重視したい、あるいは稼働時間に縛られず自分のペースで仕事を進めたいという志向が強い場合は、エージェント経由の案件紹介だけに依存しない方が良いかもしれません。具体的には次のようなルートが考えられます。
- クラウドソーシングサービスで、成果物ベースの請負案件を探す
- 個人のポートフォリオや実績を通じて、直接クライアントと請負契約を結ぶ
- 業務委託ではなく受託開発の形態を取っている企業と直接契約する
これらのルートにはそれぞれ営業活動や契約交渉の負担が伴います。エージェントを使う最大のメリットは、こうした営業活動をエージェントが代行してくれる点にあるため、契約形態への強いこだわりと、営業活動にかけられる時間・労力とのバランスを考えて選ぶことになると思います。
まとめ
フリーランスエージェントに登録した際、紹介される案件が準委任契約に偏っていたというのが筆者の実体験です。これは一つのエージェントでの経験にすぎず、すべてのサービスに当てはまるとは言えませんが、背景には企業側のリスク管理やエージェントのビジネスモデルとの相性があるという見方があります。準委任契約自体が不利というわけではないため、まずは自分がどのような契約形態を重視したいのかを整理した上で、エージェント登録前に契約形態の傾向を問い合わせてみることをおすすめします。

